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【朝礼ネタ】“とんでもございません”と“とんでもありません”は正しい?間違い?
今回の朝礼ネタは「とんでもございません!?」。営業マンとお客さん。上司と部下。先生と生徒。
目上の人から褒められた目下の人。とっさに返した言葉は、
〝とんでもございません!“よく聞くフレーズではあります。
ただ、この
〝とんでもございません“や
〝とんでもありません”が、
日本語として本来おかしいということも、どこかで聞いたことが
あるかもしれません。
実際のところ、日本語として正しいのでしょうか?それこそ、とんでもない間違いなのでしょうか?
“とんでもない”の由来・語源と正しい解釈
“とんでもない”という言葉は、〝途でもない”が変化した言葉。
(辞書にも『「とでもない」の音変化』と書かれています)
途中の「途」の字は「道・道程」の意が転じ「道理・手段」も意味するように
なった文字で、その「途」に否定語の「ない」が付き、「道理から外れている」
「もってのほか」を表す「途でもない」が生まれ、それが「とんでもない」に
変化したと言われています。
語源からも分かる通り、“とんでもない”は“とんでも”に“ない”が付いてできた言葉。
ただ、“とんでも”の部分だけが単独で使われる例がないことから、
“とんでもない”はそれ自身で一つの言葉と見るべきとされているようです。
このことから、
本来一つの言葉である“とんでもない”の“ない”の部分だけを
〝ありません”や“ございません”といった丁寧表現に置き換えるのは日本語としておかしい、
というのが一般的な見解のようです。
“もったいない”を、〝もったいありません”“もったいございません”と
言ってるのと同じと言えば分かりやすいでしょうか。
朝礼ネタとしても使えそうです。
ところが…
文化審議会答申「敬語の指針」によると…
文科省直下の文化審議会より発表された『敬語の指針』にこんなことが書いてあります。
【問29】
部長から「いい仕事をしたね。」と褒められたので,思わず「とんでもございません。」と言ったのだが,この表現は使わない方が良いとどこかで聞いたことを思い出した。「とんでもございません」の何が問題なのだろうか。
【解説1】
「とんでもございません」(「とんでもありません」)は,相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり,現在では,こうした状況で使うことは問題がないと考えられる。
【解説2】
謙遜して,相手の褒めや賞賛などを打ち消すときの「とんでもございません」(「とんでもありません」)という言い方自体はかなり広まっている。この表現は使わない方が良い,と言われる大きな理由は,「とんでもない」全体で一つの形容詞なので,その「ない」の部分だけを「ございません」に変えようとする発想に問題があるということである。したがって,その立場に立てば,「とんでもない」を丁寧にするためには,「とんでもないです」「とんでもないことでございます」あるいは「とんでものうございます」にすれば良い,ということになる。
ただし,「とんでもございません」は,「とんでもないことでございます」とは表そうとする意味が若干異なるという点に留意する必要がある。問いの例は,褒められたことに対し,謙遜して否定する場合の言い方である。したがって,「とんでもございません」を用いることができるが,この場面で,「とんでもないことでございます」と言ったのでは,「あなたの褒めたことはとんでもないことだ」という意味にも受け取られるおそれがあるので,注意する必要がある。
(以下、略)
【 平成19年2月2日文化審議会答申『敬語の指針』より(47ページより引用) 】
まず【解説1】で、何事もなかったかのようにサラッと肯定し、【解説2】では“とんでもない”が、
一つの語であることを認めたうえで、新たな展開を見せています。
思わず、そー来るかと言いたくなる、とんでもないストーリー展開です。
「とんでもございません」は「とんでもないことでございます」とは
表そうとする意味が若干異なるという点に留意と言われましても…
結局のところ “とんでもありません” “とんでもございません” は正解?間違い?
同じく文科省直下である文化庁が実施(平成7年以降毎年実施)している「国語世論調査」でも、
日本語の間違いが、これでもかと言わんばかり指摘され、クイズ番組などでも一時、取り沙汰
されています。
で、例年、「読む力」「書く力」「話す力」「聞く力」全てにおいて『低下していると思う』という
回答が圧倒的多数を占めているという「国語世論調査」。
「にやける」「失笑」「姑息」など誤用多数の言葉たち ~文化庁国語世論調査より~国民の国語に関する興味・関心を喚起するという目的で実施されている「国語世論調査」。
国民の国語に関する粗探しをするという目的が、しっかりと果たせているようです。
・・・
さて、
とんでもございません。文化審議会の答申によれば、「正しい」ということになります。
しかしながら、「この答申」を知っている人が多いとは、到底思えません。
やはり、「“とんでもございません”は、本来おかしい!」と断固譲らない方も回りには
多くいらっしゃると思います。
答申にある…
「とんでもない」を丁寧にするためには,「とんでもないです」「とんでもないことでございます」あるいは「とんでものうございます」にすれば良い,ということになる。
“とんでもございません”は間違いじゃないので、どうしても納得いかない人は、
こういう表現でも使えばいいんじゃね? と、半ば投げやりにも映るこの答申。
個人的にですが…
「とんでもないです」 一番無難に見えますが、これはこれで「否定派」も多い表現のようです。
形容詞の終止形に助動詞が接続していることに異議を唱える人がいたり、
目上に対して「~です」は軽すぎるという意見もあったりと、微妙です。
「とんでもないことでございます」 正しさの点で見れば、最も適した表現と言えそうです。が、
まず第一に、噛みそうです。どことなく厭味っぽくも聞こえ、
実際に言われたらイラッとくるかも。
「とんでものうございます」 どこで育てば、この言葉が似合うでしょうね。時代劇のセリフですか。
使った瞬間、距離を置かれそうです。
絶妙な言い回しをご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひとも教えて頂きたいです。
うちの会社は「とんでもございません」のヘビーユーザーが溢れ返っています。
あなたの会社ではいかがですか?
朝礼やミーティングの場で、
『「とんでもございません」という表現、正しいと思う人、手を挙げてみて頂けますか?』と、聞いてみたいところです。
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文科省の役人のバカさ加減を知っていてなお彼らの下らない戯言をもってお墨付きとするかの如き愚かしい文章を綴るとはね。
呆れ返る。
文法的にも慣用的にも間違っているのを、正しいと強弁するな。
とおりすがりさん
貴重なご意見をありがとうございます。
私自身、とおりすがりさん同様、お役人さまの解説内容に強い違和感を覚え、皮肉交じりで当記事を書いた一面がございましたので、『「とんでもありません」「とんでもございません」が正しい』と強弁する意図は一切ございませんでした。
しかしながら結果として、せっかくお目通しいただいたとおりすがりさんに不快な思いをさせてしまい、すみませんでした。
もしまたお立ち寄りいただける機会がございましたら、引き続き、宜しくお願いいたします。
大変よくわかりました。
正しい正しくないも大切ですが、実社会で認められているかいないかの方が、自分には役立ちました。
ありがとうございます。
けんさん
大変恐縮です。
「とんでもありません」「とんでもございません」の、『日本語の用法としての正誤』につきましては、
『「とんでもない」で1つの形容詞であるため、「ない」の部分のみを「ありません」「ございません」に置き換えることは、本来、日本語の用法として誤っている。』
と、一応の説明は出来そうです。
一方で、用法としては誤りであっても、現代社会においては、言葉自体が常々変化していくため、「とんでもありません」「とんでもございません」を正しい日本語として広く認める向きもあり、けんさんの仰る「実社会」を切り取ると、寧ろ「とんでもありません」「とんでもございません」の方が、「とんでもない」以上の市民権を得ている感も否めません。
私見で恐縮ですが、こうした「立ち位置によって正誤の解釈が異なる表現」については、現実的には「聞き手の印象」に大きく左右されるように感じます。
実社会では、同じ表現に対し、それを「気にする人」と「気にしない人」が混在していますので、明らかに「気にする人」が多い場面では、こうした表現の使用自体を差し控えたり、他の表現に置き換えたりした方が得策なのかもしれませんね。
一概には言えませんが、聞き手の印象は世代差によるところが大きい気がします。
「よろしかったでしょうか」などが、1つの好例と言えるかもしれませんね。
改めまして、貴重なコメントをありがとうございました。