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【朝礼ネタ】消費増税で「切手」「印紙」が変わる ~知らないと恥ずかしい!?~
この記事は、2014年4月の消費増税時(5%⇒8%)について記述していますのでご留意ください。
なお、2019年10月の消費増税(8%⇒10%)に対応する内容は、赤文字で追記しています。
今回の朝礼ネタは「消費増税に伴う切手・印紙の雑学」。
突然ですが、消費増税に関連する切手・印紙についての質問を2つほど。正しく答えられますでしょうか?
- 切手も印紙も非課税。なのに切手に関しては増税を境に「50円→52円」(「62円→63円」)「80円→82円」(「82円→84円」)等、値上がりします。なぜ?
- 増税のタイミングに合わせて、印紙税の非課税範囲が従来の3万円から〇万円に拡大されます。〇に入る数字は?
特に、後者は知らないと後々まずいことになるかもしれません。
消費増税で値上がりするのは「切手」ではなく「郵便料金」
質問1つめ。
切手も印紙も非課税。なのに切手に関しては増税を境に「50円→52円」(「62円→63円」)「80円→82円」(「82円→84円」)等、値上がりします。なぜ?答えは見出しの通り、
『消費増税で値上がりするのは「切手」ではなく「郵便料金」』です。
日本郵便は、郵便料金への消費税増税分転嫁に際し「内税となっている郵便料金について、全体として消費税率8%相当分を賄えるように、料金を改定する」と回答しています。
もう少し答えらしくまとめると、
「切手を購入する際は非課税(※下記参照)ですが、切手を使って手紙を送る郵便料金は課税対象となり、今回は課税対象である「郵便料金」に増税相当分が転嫁されているから。」となります。
少し見方を変えて、仮に「切手の値上げ」だとすると、一定の額面以上の切手が全て一律値上げとなるところですが、実際は、額面によって上げ幅にばらつきがあり、据え置きの額面もあります。前述、日本郵便の回答「全体として消費税率8%相当分を賄えるように、料金を改定する」と合わせ、この金額のばらつきからも、増税分の転嫁先が「切手」ではなく「郵便料金」であることがうかがえます。
・・・
ところで、
「購入時非課税(※)、使用時課税となる切手」の正しい会計処理は?この疑問。経理に携わったことのある方であれば、一度は頭を悩ませたことがあるかもしれません。
もちろん、購入時に非課税として処理し、使用時に課税処理するのが正しい方法です。
しかし、この方法では、購入と使用が頻繁に繰り返される切手の処理として、現実的に無理があります。そのため、購入者自らが使用することを前提に購入しているという切手の性格上、購入時に課税取引として処理する方法も原則として認められています(参考:
国税庁「物品切手の購入費用」)。
なお、商品券やビール券の場合も、切手同様に購入時は非課税です。ところが、商品券やビール券の多くは第三者への贈答目的、つまり購入者と使用者が異なります。そして、最終的に受け取った第三者が使用して初めて課税対象となるため、購入時の課税処理はできません。
※切手購入時は原則非課税ですが
金券ショップ等、正規の販売窓口以外で購入した場合は、「商品」として取り扱われ、原則課税対象となりますので、会計処理に関わる方はお気を付け下さい。
切手の金額不足で大事な取引先に不足分を負担させてしまったり、期日厳守の大事な書類が料金不足により未達になってしまったりと、起きてしまってからでは大変です。
お手許に残った料金改定前の「50円はがき」
(「62円はがき」)や「80円切手」
(「82円切手」)。ついうっかり、そのまま使ってしまうことのないようお気を付け下さい。
領収書に貼る200円の収入印紙 額面がいくら以上の場合に必要?
質問2つめ。
増税のタイミングに合わせて、印紙税の非課税範囲が従来の3万円から〇万円に拡大されます。〇に入る数字は?・・・
答えは「5」万円です。いわゆる「領収書」に対する、
これまでの「3万円未満は印紙不要」が「5万円未満は印紙不要」になります。現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていますが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされることとなりました。
念のため、
従来の3万円・今後の5万円という金額は、本体価格(税抜価格)を指します。
なお、領収書内に本体価格と消費税がそれぞれ区分明記されている場合や、「税込価格」「税抜価格」と明記されている場合は、その領収書に記載された金額の本体価格が分かりますが、金額だけが記載されている場合は、その金額が税込なのか税抜なのかが分からず、金額によっては印紙の必要有無が判断できなくなります。
<例>金額52,000円とだけ記載された領収書(消費税8%の場合)
⇒税込なら本体価格48,149円で印紙不要
(消費税10%の場合は本体価格47,273円で同じく印紙不要)
⇒税抜なら本体価格52,000円で印紙必要
※金額のみが記載され税込・税抜の表記がない場合、受け手に判断がつかない。
あなたが領収書を発行する立場なら、知らなかったでは済まされません。
過誤納分の還付申請も可能ですが、そのためには原則として過誤納分の印紙を貼付した「原本」の提示が必要となります。しかしながら、相手方に渡してしまった領収書等の場合「原本」の提示が困難であることは明らか。しっかりと注意したいところです。
また、あなたが領収書を受け取る立場の場合においても注意が必要です。
印紙税未納自体は相手方の問題となりますが、後々その領収書が入用(確定申告や何らかの申請等)になるようなら、その場で加筆・修正してもらった方が無難です。
8%消費増税後の領収書。
収入印紙が必要な金額は、税抜50,000円以上、税込54,000円以上(消費税10%においては、税抜50,000円以上、税込55,000円以上)です。
これまで何となく暗算できた5%。急に難易度が増した8%。
そして2019年10月、軽減税率を含め更に複雑化する消費税。
余談ですが、お使いの電卓。税率の設定変更は大丈夫でしょうか? ご参考まで。
【朝礼ネタ】電卓の税率設定変更方法・やり方 ~10秒で出来ます~・・・
この、印紙税の非課税範囲額の拡大。意外に周知されていないように思います。
当面の間は、3~4万円前後の額面で印紙を貼っている過誤納領収書を見かけるかもしれませんね。
払わないと厳しく督促されますが、払い過ぎた場合はこちらから申請しないと返ってきません。それが税金です。改めて気を付けましょう。
朝礼ネタとしての消費増税
法人税や所得税に関する税制が改正されても、実生活において目に見えるほどの大きな変化は感じないものですが、殊に消費税に関してはワケが違います。ほぼ全員にとって身近な関心事です。
初めて消費税が導入された、1989年(平成元年)4月1日。
3%から5%に増税となった、1997年(平成9年)4月1日。
5%から8%に増税となった、2014年(平成26年)4月1日。それぞれ当時のこと、覚えてますでしょうか?
筆者は、1989年3月31日の夜中、日付が4月1日変わる直前の時間帯に、友人とコンビニにいたのをハッキリと覚えています。店長らしき人に声を掛けられ、若い自分らの深夜入店を注意されるのかと思いひるんだ次の瞬間、「おにいちゃん達、あと10分以内に買い物しないと、消費税ってヤツが付いちゃうよっ!」。忘れられない、いい思い出…。
・・・
朝礼で、当時の思い出話を披露しても面白いかもしれません。が、あなた一人だけが盛り上がってしまう可能性も否定できませんので、やはり朝礼の場では「今現在」の共通の話題・関心事をテーマにしたいところ。
二段階(8%・10%)増税となる消費増税。それに伴い変わるものがたくさんあります。今回は身近な話題の一例として「切手と印紙(一部「電卓」も)」を取り上げましたが、「変わるものの数」=「話のネタの数」と捉えれば、今回の消費増税をテーマとした朝礼ネタや会話ネタが、色々と浮かんでくるかもしれません。間違いなく、ほぼ全員にとっての関心事です。
特に、身近な切手や印紙に関する話題。当面、「知ってる人」「知らない人」が混在する可能性があります。朝礼に限らず、職場内全員で、もれなく共有しておきたい話題です。
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