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【朝礼ネタ】一生懸命と一所懸命 実はどちらも正解! ただ場合によっては不正解!?
今回の朝礼ネタは「一生懸命と一所懸命の違い」。一生懸命 一所懸命 どっちが正解?
あなたでしたら、どうお答えになられますか?
ぜひ、いっしょ(う)懸命、考えてみてください。
答えが気になるあなたは、以下、ご参照ください。
一生懸命と一所懸命の違い
goo辞書でそれぞれ引いてみます。すると…
(リンクをたどると、実際の検索結果画面に飛びます)
■ 一生懸命(いっしょうけんめい)[名・形動]《
「一所懸命」から》
1 命がけで事に当たること。また、そのさま。
2 引くに引けないせっぱ詰まった場合。瀬戸際。
■ 一所懸命(いっしょけんめい)[名・形動]
1 中世、1か所の領地を命をかけて生活の頼みにすること。また、その領地。
2 命がけで物事をすること。また、そのさま。必死。
一生懸命(いっしょうけんめい)。
・・・
「一生懸命」と辞書で引くと、いきなり出てきます。『《「一所懸命」
から》』と。この説明を見る限りでも、
言葉としては「一所懸命」の方が先輩格であることがうかがえます。
一所懸命の由来は?本来の意味は?
一所懸命とは本来、その説明にもある通り「中世、1か所の領地を命をかけて生活の頼みにすること。また、その領地。」に由来する言葉です。これが転じ「命がけで物事をすること。また、そのさま。」を意味する言葉となり、そこからさらに、言葉の持つ意味合いから「一生」が使われるようになったと言われています。
そして現在、先輩格の「一所懸命」を差し置いて、明らかに「一生懸命」が幅を利かせています。もっと言えば、“「一所懸命」なんて誤用・間違いじゃね?”くらいの勢いで「一生懸命」が市民権を獲得しています。
改めて、一生懸命と一所懸命。
冒頭に引用したgoo辞書は『一生懸命は一所懸命の転』の立場を取っていますが、一方で、『一生懸命は一所懸命の誤り』と表記する辞書もあるというから、日本語は難しいですね。
ただ、一生を「いっしょ」と読んだり、一所を「いっしょう」と読むのは誤りですので念のため。
また、「中世、1か所の領地を命をかけて生活の頼みにしたことを何というか?」と尋ねられたら、その答えは「一所懸命」のみが正解。でも大丈夫です。そんなこと、それこそ一生、聞かれないと思いますので。
・・・
少々余談ですが、誤用のようで誤用でないケースで言えば…
T字路(ティージロ)と丁字路(ていじろ)の違い(当サイト内記事)
▲これ、今回の「一生懸命と一所懸命の違い」によく似ています。
誤用なのに市民権を得ているやっかいなケースで言えば…
「にやける」の意味を、8割近い人が「薄笑いを浮かべる」ことだと思っている事実(当サイト内記事)
▲こちらは、今回の「一生懸命と一所懸命の違い」と異なり、明らかな誤用例です。
「一生懸命」が主流になった理由はおそらくコレ!?
NHK放送文化研究所が、次のように公言しています。
多くの辞書が今も両方を見出し語として載せていますが、新聞社や雑誌社では、外部からの寄稿などを除いて「一生懸命」に統一しているところが多いようです。放送でも「一生懸命」を使っています。
後輩の「一生懸命」の方がメディアへの出演回数が多いわけです。そりゃ、知名度が上がって当然です。いくら先輩の「一所懸命」が文字通り懸命に頑張ったところで、最近テレビで見なくなったアノ人状態。そんな感じでしょうか。
普段、気にも留めずに使っている、今回のような言葉の微妙な違い。朝礼ネタや会話ネタとしていくつか取り上げてみても面白いかもしれませんね。
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今から40年前の小学校では、「いっしょけんめい(いっしょうけんめい)を漢字で書け」と言われた時
○一所懸命
○一処懸命
×一生懸命
でした。口語で「いっしょうけんめい」と発音していても、漢字は上の2つです。五十代以上の人には、経験があるはず。
言葉は変化するものなのでNHKが明確な基準のもとに判断するのは良いですが、今の教育現場はどうなっているのでしょうか。国語審議会の意見と照らし合わせながら、NHKの判断基準を見てみたいものです。
通りすがりさん
貴重なお話をありがとうございます。
> 言葉は変化するものなので
まさに仰る通りですね。
平成7年から毎年実施されている、文化庁の「国語に関する世論調査」の結果を見るたび、言葉が生き物であることを実感します。
ただ、変化の結果、それが「誤用」なのか「慣用」として認められるのかの判断基準が周知徹底されないまま、結局、改善に結びついていない印象も受けます。
いっしょ(う)懸命も、その好例であると、個人的には感じています。
今後とも宜しくお願いします。
店長(管理人)様
『一所懸命とは本来、(中略)言葉の持つ意味合いから「一生」が使われるようになったと言われています』とありますが、「発音が似ているから」が正しいのではないでしょうか? 子供のころ、そう教えられた記憶があります。
それと、「懸命」が「命を懸ける」という意味であること自体がわかっていない人が多いと思います。
これがわかっていれば、「一生に命を懸ける」、または、「一生、命を懸ける」ことが誤りであることが誰にでもわかるでしょう。
そうなれば、「一生懸命」と誤って書く、または話す人も、減るのではないでしょうか?
NAKANO-88さん
貴重なご意見、ありがとうございます。
前にコメント頂きました “通りすがりさん” も仰っております通り、世代によっては、『「一処懸命」はあっても「一生懸命」は本来誤用である』と認識されている方々が多いのも事実です。
そして、NAKANO-88さんの仰る通り、「一生、命を懸ける」では、一昔前の「24時間、戦えますか」の世界観です^^
休憩中や睡眠中も「一生」の一部ですので、「一生懸命」を額面通りに受け取ると、確かに不自然であると私も感じます。
ですが、NHKをはじめとした各種メディアが「一生懸命」を公然と使用しているのも事実ですし、記事内でも触れました通り、辞書も、その出版社によって見解が異なります。
国語を審査する文科省直轄の「文化審議会国語分科会(旧国語審議会)」の議事録の中にも「一生懸命」の表現が散見されますので、ここまで来ると暗黙の了解と言わざるを得ないのかもしれませんね。
余談ですが、一般に誤用とされる「とんでもございません」も、文化審議会がその使用を容認した過去があります。ご参考までです。
【朝礼ネタ】「とんでもございません」「とんでもありません」実は正解!?