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【朝礼ネタ】「全然OK」「全然大丈夫」「全然いい」は正解か誤用か?
今回の朝礼ネタは「全然」。A君「テストどうだった?」
B君「全然。」この、何気ないA君とB君の会話。
B君がよほど嫌味なタイプでなければ、「全然(できなかったよ)」なわけですが、それは、「全然」の後は否定や打消しの言葉を伴うと思い込んでいることが前提の話。ですね。
ところが、
一般に「全然は本来否定を伴うべき副詞である」という言語規範意識がありますが、研究者の間ではこれが国語史上の“迷信”であることは広く知られている事実です。
と、
日経新聞の記事でも取り上げられたことがあります。
夏目漱石、石川啄木、森鴎外、芥川龍之介も、否定を伴わずに使っていたという「全然」。
その辺のおにいちゃんもよく使っている、否定を伴わない「全然」。
前者はあがめられ、後者はとがめられる。その理由は?
「全然+肯定」が誤用とされる理由と経緯
以下、ウィキペディアからの引用です。
「全然」という言葉が中国から入ってきた江戸時代には、既に肯定で使用されることがあった。 ただし、広まったのは明治時代である。その後、昭和中期には肯定用法の使用が減り、「全然」を否定表現で使うことの方が多くなっていった。
1960年の指導要領には「全然は否定語を伴う」と明記されている。
2003年放送のNHK「お元気ですか日本列島」の中で全然の肯定表現について文部科学省の見解として「戦前から全然は否定表現を伴うと教育している」としている。
この間、先の日経新聞の記事にも登場する研究者たちは、肯定用法の使用が減ったとされる昭和中期(20年代後半)から、更に昭和前期にまで歴史を紐解き、『昭和10年代には「全然」の6割が肯定用法で使用されていた』という史実に辿り着きます。
ただ、彼らの研究もさることながら、昭和中期に急速な広がりを見せた、世間の「全然+肯定=誤用」意識には追いつかず、今に至っているようです。が、
一方で近年、「全然+肯定=誤用」と横並びだった各出版社の辞書にも一部、変化が現れます。
一部の辞書の「全然」の意味に、こんな記述が追加されています。
「明治・大正期には、もともと『すべて』『すっかり』の意で肯定表現にも用いられていたが、次第に下に打ち消しを伴う用法が強く意識されるようになった」
研究が進み、問題の昭和中期(20年代後半)に何があったのかが解明されれば、全ての辞書、ひいては世間の認識が一斉に塗り替えられる日が訪れるかもしれません。
これが、研究者の間で『「全然+肯定=誤用」は迷信』と言われる理由です。
日本語の「乱れ」と「誤用」と「勘違い」
研究者たちが迷信であると力説する今回の「全然+肯定=誤用」。
歴史的背景や変化の経緯について、多少はお分かりいただけましたでしょうか。
全然ですか?「完全に誤用されている言葉」と
「誤用と勘違いしている言葉」実は身近で誤用を連発していたり、本来誤用ではない言葉を完全否定していたり…
ちょっと不安に感じられるようでしたら、以下の記事も「えっ!」かもしれません。
【朝礼ネタ】「とんでもございません」「とんでもありません」実は正解!?【朝礼ネタ】「にやける」「失笑」「姑息」など誤用多数の言葉たち ~文化庁国語世論調査より~【ランキング】「間違った意味で使われる言葉」「言い間違いされる言葉」 第1位は?紛らわしい言葉の数々。
普段からよく使われていそうな紛らわしい言葉について、1つ2つでも理解を深めておけば、朝礼ネタにせよ、会話ネタにせよ、使い回しが利くかもしれませんね。
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