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【朝礼ネタ】植松専務の感動スピーチ ~“作業服姿のおじさん”にスタンディングオベーション~

読了までの目安時間:約 10分

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【朝礼ネタ】世界を感動させた作業服姿のおじさんのスピーチ


夢今回の朝礼ネタは「作業服姿のおじさんの感動スピーチ」。

2014年7月に札幌で開催された講演イベント「TED x Sapporo」で、スピーチを行った「作業服姿のおじさん」。

照れた様子で、頭をポリポリしながら登場。一見頼りなさそうにも見えるこの「おじさん」がスピーチを始めた途端、会場はその内容に見事に惹き込まれていきます。

そして、最後に再び頭をポリポリ。最後にポリポリする「おじさん」に、聴衆はスタンディングオベーション。

この「おじさん」、地元北海道赤平市にある株式会社植松電機の専務取締役(2014年当時)、植松努氏(2016年より代表取締役)。地元では“大”が付くほどの有名人だそうです(赤平市に住む古い友人から聞きました)。

20分ほどのスピーチ動画ですが、心揺さぶられる内容です。お時間が許す限り、ぜひご覧になってみてください。




植松専務のスピーチ 「どーせ無理!」を「だったらこうしてみたら?」に


TED x Sapporo 株式会社植松電機 専務取締役植松努氏のスピーチ



この動画には字幕(日本語・英語)も用意されていますので、音声を出せない環境でもご覧頂けます。
※動画再生後、右下の「設定(歯車マーク)」から字幕有無を選択可。

20分全てが聴き入ってしまう内容ですが、その一部を抜粋させて頂きます。

「思い続けるって大事です」
「思うは招く」

考えたんです。夢って何だろう?って。できそうな夢しか見ちゃダメなんでしょうか?

でもできるかできないかは、いったい誰が決めるんだろうって思いました。やってみなきゃわかんないはずなのに、やったこともない人が決めるのは変じゃないのかなと思いました。

そして僕は、今できないことを追いかけることが、夢っていうんじゃないのかなって思ったんです。

「どーせ無理」という言葉がおそろしい言葉なんだと思いました。これは人間の自信と可能性を奪ってしまう最悪の言葉です。

でもとっても簡単な言葉なんです。これを唱えるだけで何もしなくて済んでしまうから、とっても楽チンになれる恐ろしい言葉でもあるんです。

人間は生きていくためにはどうしても自信が必要なんです。

だから自信を無くしてしまった人の中には、お金で自信を買うようになって身を飾るようになったり、またそれを自慢しなくてはいけなくなったり、そのためにひとを見下さなければいけなくなってしまったり、また他の人ががんばったら困るから努力を邪魔するようになってしまう人もいるんです。

こういう人がみなさんの身のまわりにも、もしかしたらいるかもしれません。でも、その人たちは自信をなくしてしまったかわいそうな人たちなんです。その人たちが自分の自信を守りたくってしょうがなく他のひとの自信を奪ってしまってるのかもしれません。

人は、足りないから助け合うことができるんです。

足りてたらひとの助けなんか必要ないじゃないですか。人は足りないから助け合えるんです。だから足りないことをバカにしちゃいけないんです。恥ずかしいって思う必要もないんです。

大事なことは、自分は何やっても中途半端だなぁだなんて、自分を責める必要なんかまったくなかったんです。実は中途半端っちゅうのは、何もしないよりも何もできないよりも、全然いいんです。ちょっとできてるだけマシなんです。足りない自分をマイナスに思う必要なく、一生懸命できることをすればよかったんです。

僕は信じてるんです。「どーせ無理」をなくせばいい社会が来ると思ってます。

失敗をマイナスだと思っている大人がたくさんいたからなんです。

その人たちがみんなの可能性と自信を奪ってきたんです。

みなさんも思い出してみてください。

小さい頃はボタンがあったら押してみたかったんです。ハンドルがあったら回してみたかったんです。そして余計なことすんじゃないって怒られるもんだったんです。

実は生まれたときから諦め方を知ってる人間なんてこの世にひとりもいないんです。みなさんは全員、諦め方を知らないで輝いて生まれてきたんです。

失敗した自分を、逃げた自分を、諦めた自分を、責めないでください。へこまないでください。そんなことする必要ないです。

でもこんなとき、自分の心の中は苦しいとか、つらいとか、申し訳ないとか、くやしいとか、悲しいとか、恥ずかしいが、ぐるんぐるんして大変なことになるんです。

でもこれがぐるんぐるんしてる最中は「ただいま成長中!」って言えばいいんです。そしたらぷりっとひと皮むけるんです。だからぜひね「成長中!」って言ってみてください。

これから先僕らがやってくべきことは、できない理由を探すことではありません。できる理由を考えることです。

ただそれだけで世界はきっと、あっというまに良くなるんです。

最後にこのひと言があれば、どんな夢でも叶っちゃうよって言葉をプレゼントして終わりにしたいと思います。

それは「だったらこうしてみたら?で夢は叶う」なんです。考えてみてください。自分の夢を誰かに喋ったときに、「いや、それ無理だわ~」って言われたら、元気なんかなくなります。

でも「だったらこうしてみたら?こないだ本屋にこんな本売ってたよ」「こないだテレビでこんな番組やってたよ」って言われたら、もっと元気がわくじゃないですか。その方が絶対楽しいです。

だからお互いに夢を喋って、お互いに「だったらこうしてみたら?」って言ってたら全員の夢が叶ってしまいます。全員有名人になっちゃいます。素晴らしいですね。

だからぜひ、この「だったらこうしてみたら?」が世界中ではやったらいいなぁって、そしたら「どーぜ無理」がなくなると思ってますので、ぜひみんなで、「だったらこうしてみたら?」をはやらせていきたいと思います。

それがきっと僕たちが出逢えた意味かもしれませんから。

・・・

笑いあり、涙ありの20分間。

冒頭の「頭ポリポリ」と、最後の「頭ポリポリ」。あなたも「作業服姿のおじさん」を見る目が変わったのではないでしょうか。

当初、大事な部分(キーワードや印象に残るフレーズ)を赤文字にして少しでも読みやすくしようと思っていたのですが、ほぼ全てが真っ赤になってしまいましたので、元に戻しました。その位、1つ1つの言葉・表現に重みや深みが込められた感動的なスピーチでした。

・・・

こうした全世界の感動スピーチ動画が多数収録されている「TED」。こちらから日本語版ページがご覧になれます。きっと、心に残るスピーチが見つかると思いますので、ぜひ機会がありましたらご活用ください。

TED.com(日本語版)

TED(テド、英: Technology Entertainment Design)とは、ニューヨーク市に本部があるLLC(有限責任会社)。カナダのバンクーバー(過去には米カリフォルニア州ロングビーチ、モントレー)で、毎年大規模な世界的講演会を主催している非営利団体のこと。

【 ウィキペディア「TED」より 】



朝礼ネタ・会話ネタとしての「植松努専務のスピーチ」


こちらのスピーチは、ご覧になったことがありますでしょうか?

【朝礼ネタ】スティーブ・ジョブズ「伝説のスピーチ」とは? ~この動画は見ておきたい~

【朝礼ネタ】ムヒカ大統領「感動のスピーチ」 ~「世界で最も貧しい大統領」と呼ばれる理由~

“超”のつく有名人のスピーチは、会話のネタ・話材としてとても重宝しますが、自らの朝礼ネタに引用するには畏れ多いものです。一方、今回の植松専務のスピーチは、同じ「感動スピーチ」でもどこか親近感を覚えるから不思議です。

世の中、綺麗ごとを並べる上司は数知れませんが、植松専務は「有言実行」を正に地で行く存在。言葉1つ1つの重み・説得力が違います。

どこにでもいそうな町工場のおじさん。その風貌を裏切らない、どことなく不安げな登場シーン。しかし、そのわずか20分後、そのおじさんが、スタンディングオベーションの真ん中にいる。これが、植松専務の行ったスピーチです。

スピーチの内容はもちろん、その構成にも学ぶべき点が凝縮されています。「20分話す機会」というのは、なかなか訪れないとは思いますが、いわゆる「3分間スピーチ」や「5分間スピーチ」といった一般的な朝礼等でのスピーチにも、これらの点は非常に大切な要素と言えそうです。
  • 宇宙開発に携わる人物であるにも関わらず、難しい言葉や専門用語等は一切使っていない。
  • これから何を話すかを小出しに伝え、それぞれを解説していく分かりやすいスピーチ構成。
  • 時折、対話してるかのように、聴衆に質問・疑問を投げかける展開。
  • 大事なメッセージ・キーワードは、繰り返し何度も伝える。
  • おやじギャグのお手本ともいえる「笑い・ユーモア」の挿入。
  • 何と言っても、感情のこもった表情。

赤平市に住む友人いわく、時々ロケット実験の音が聞こえてくるそう。たくさんの子供たちを笑顔にしている姿が目に浮かぶようです。

「すごい人」と「身近な人」は、一見、相反するものと考えがちですが、植松専務は双方を兼ね備えた「理想の上司」といった存在かもしれませんね。


 

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