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【朝礼ネタ】コーチングの語源は「馬車」を表す“coach”
今回の朝礼ネタは「コーチング」。「コーチング(coaching)」と聞くと、こちらのイラストのように、何かを一方的に指導する「講師と生徒の関係」をイメージされる方も、案外多いかもしれません。
コーチング技術そのものを「教える」は、イラストのイメージですが、実際にコーチングを「行う」は、どちらかと言えば1対1、更に言えば、講師と生徒・上司と部下といった主従関係のない対等な関係の下で実施されるのが一般的です。
ちなみに、
コーチングの語源は「馬車」を表す“coach”。
馬車のように「人を行きたい場所に連れて行く」ための手法として、1990年代にアメリカで広がりを見せ、今では世界各国に広まっているコミュニケーション技法の1つです。余談ですが、カバンや財布でおなじみのブランド“coach”も同じ語源です。
ではこの「コーチング」。一見、混同されがちな「カウンセリング」との決定的な違いは何でしょう?
「コーチング」と「カウンセリング」の決定的な違い
ウィキペディアにこんな記述があります。
クライアントへの「助言・力づけ・援助」をクロージングとするカウンセリングと異なり、コーチングはそれらを「承認」に代える。
端的に言えば、相手が直面している問題に対し…
その問題の解決にあたり具体的な助言をしてあげるのがカウンセリング。
どうすればその問題を解決できるかを一緒に考えるまではカウンセリングと共通していますが、
最終的に「相手に自ら問題解決できる力を身に付させる」のがコーチング。例えば、営業会社にて、ある上司(A課長)と部下(B君)のこんなやりとり。
◆まずは1つ目の会話実例。
B君 | A課長、今月の目標を見直したいんですが…。 |
A課長 | 何で?お前なら出来るだろ!先月もしっかりと達成してたじゃん! 何なら一緒に同行でも何でも付き合うから、そのまま頑張ってみろよ! |
B君 | あ、はい…。頑張ります…。 |
少々気の毒なB君。
同じ上司でも、
最初の反応次第では、B君は俄然やる気になります。
◆では2つ目の会話実例。
B君 | A課長、今月の目標を見直したいんですが…。 |
A課長 | おぅそうか。今月の目標を見直したいのか? お前ほどの奴が言うんだから、それなりの理由があるんだろうなー。何があったの? |
B君 | はい。実は今月見込みだった○○商事様と△△運輸様が先方の予算の都合で来月の受注になりそうなんです。 その分、来月の目標を上乗せしたいと思っています。 |
A課長 | なるほど。○○商事、△△運輸と言えば、お前の大のお得意様だもんな。 で、お前は目標を見直すことに納得出来るの? |
B君 | もちろん納得なんて出来ません。 今月の目標はあくまで今月の目標ですから、何としても達成したいです。 でも大幅な未達でご迷惑をお掛けしてしまう前に、課長には一言ご相談をと思いまして。 |
A課長 | だよな。お前、負けず嫌いだもんな。で、B。お前どうすればいいと思う? |
B君 | はい、○○商事様と△△運輸様の大口受注が見込めない以上、少しでも穴埋めしないとと思いまして、新規客や休眠客、昨年の今位の時期に発注のあったお客様などをリストアップしている最中です。 |
A課長 | (敢えて沈黙)【心の声】お、こいつ分かってるじゃん。 |
B君 | 課長、目標未達を前提にしたようなご相談を差し上げてしまい、申し訳ありませんでした。 残り数日間ですが、このリストをもとにやれるだけのことはやってみます。 |
A課長 | おうっ!だったらちょっとそのリスト見せてみろ! お、この客とこの客は、以前俺も行ったことがあるからよく知ってるよ。 何なら明日にでも一緒に同行してみるか! |
B君 | はいっ!ありがとうございます!宜しくお願いします!! |
と、少々話が上手すぎますが、こんな感じ。
言わずもがな、
上がカウンセリング。といっても「同行するか」位しか助言していないへっぽこ上司…。
下がコーチング。同じ「同行するか」でも部下への伝わり方に雲泥の差が感じ取れると思います。
ここで大事なのは、下の課長は発言が、部下を「褒める」でもなければ「おだてる」でもないこと。
コーチングで最も大事なのは、相手を「認める」ことだとされています。
これが、ウィキペディアにも紹介されている「承認」というわけですね。
コーチング。「褒める」と「認める」の違いは?
繰り返しとなりますが、
コーチングは「人を行きたい場所に連れて行く」ためのコミュニケーション手法、そして「お互いがお互いを認める」ことが大事なわけですが、一方の「褒める」は、職場や学校においては、「一方的な評価」であることがほとんどです。
そして、その職場や学校において、対象となる人の結果や行動等、表面上のことばかりを褒めていると、その人に対し
「次もまた同じ結果を出さなければならない」というプレッシャーを与えかねず、また、褒める人が変わればその基準も変わってしまうものです。
結果、
「表面上」を褒め続けられた本人は、「自分の行きたい場所」ではなく「相手の行きたい場所」、つまり相手の評価や顔色ばかりをうかがう行動を優先してしまうようになり、コーチングの目指す「その人の中身・本質を変える」という大命題とは相反してしまうというわけです。
何より、コーチングにおいて重要視される
「認める」という行為の最たる目的は、相手に絶対的な「安心感」を与えること。プレッシャーを与えかねない「褒める」とは正に真逆と言えます。
「コーチングは対等な立場で行うもの」に「安心感」は絶対不可欠なものであることは言うまでもありません。
・・・
ここでもう一度、前述の上司と部下の会話を振り返ってみます。
前述の会話では、相手の考えを「認めた」上司に軍配が上がりました。
なお、会話の冒頭に「褒める」要素は見当たりません。「目標を見直したい」と申し出た部下に対して向けられる一般的な言葉はおそらく「お叱り」です。しかし上司は「認める」を選択しています。
その後、少しでも穴埋めするべく綿密にリストアップした部下の努力を知るわけですが、そこでも上司は決して「褒めて」はいません。相手の行為をそのまま受け入れ、やはり「認めて」います。
そして最後に、部下の自発的な行動を促す後押しの一言を添えています。
最後の最後までB君自身に考えさせ、その方向性が間違っていないことをしっかりと確認した上で、初めて助言を発したA課長。その助言は間違いなくB君にとって心強かったに違いありません、ね。
・・・
職場や学校においては、一般的に「褒める」は上から下への「一方向」、「認める」は「双方向」の関係が成り立っていることが多いと言えます。
コーチングを行う側と受ける側の間柄や環境にもよりますが、
「一方向」「双方向」の違いがカウンセリングとコーチングを分ける決定的な要素の1つとなりうることはご理解頂けたと思います。
・・・
ただ、下手なお世辞やおべんちゃらを除き、褒められて嫌な気持ちになる人はなかなかいません。
あくまで、コーチングは「技術」「技法」であって、日常会話全てにおいて該当するかどうかは別問題です。本来「褒める」べきところを、変に「認める」行為にすり替えて、険悪なムードになってしまっては本末転倒です。その点はくれぐれもお気を付下さい。
・・・
コーチングについて、もっと詳しく学んでみたいというあなたに、ご参考までです。ネット上で、お手軽ながら、しっかりと学べます。
朝礼ネタ・会話ネタとしての「コーチング」
「褒める」より「認める」ことの方が大事なコーチング。という流れになりましたが、普段の生活においては、相手を「褒める」ことは
(お世辞も含め)とても大切です。そのことをしっかりと理解した上で「認める」も上手に取り入れてみたいものです。
同僚が大口の新規を獲得してきた!「おーっ、すげーじゃん!」「さすがだなぁ!」「やったなー!」と、結果(=点)を褒められるのも、もちろん本人は嬉しいと思いますが、「この日に向けて誰よりも遅くまで頑張って準備してたもんなっ!」と、プロセス(=線)を認めてもらった方が嬉しいという人も少なくないと思います。
特に職場は、同じ目標を共有している仲間が集まる場所。
自分がされて嬉しいことは、大概、相手にとっても嬉しいこと。のはず。
自分が言われて気持ちよく感じないお世辞やおべんちゃら。相手には平気で言っちゃってません?
自戒を込めて…。
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